Service details試験・サービスの詳細
創薬イノベーションセンター「感染症関連施設(BSL3施設)」
感染症関連施設(BSL3施設)は、医薬品開発おいて必要な薬事申請に対応した運用ができる日本国内でも数少ない貴重な施設です。本施設では、病原体の取り扱いに関するバイオセーフティ指針や感染症法等の関連法令、ならびに各種ガイドラインに準拠した試験を実施できます。


概要
- 所在地
- 熊本県宇土市栗崎町1285番地
- 稼働開始
- 2026年4月1日
- 施設面積
- 264㎡(BSL2/3エリア)
特徴
- GLP適合施設内での薬事申請体制
GLP職員が試験操作を担当し、SOPの整備およびQAUによる品質管理を含む、薬事申請に対応した運用体制を構築しています。
- バイオセーフティに必要な施設設備、検体・病原体・試薬保管設備、分析設備などを整備
-
- 安全キャビネット
- CO2インキュベーター
- 遠心分離機
- オートクレーブ
などを整備しています。
- 豊富な試験・検査サービス群
-
- 分離培養・同定
- 培養定量測定
- 中和抗体価・HI抗体価
- 薬剤感受性試験
- 不活化試験
- ELISA(抗原検出)を用いた各種分析・測定
が可能です。
抗菌・抗真菌薬
1.細菌および真菌関連の測定(in vitro試験)
研究開発から市販後調査まで、幅広いニーズに対応する細菌・真菌試験を実施しています。臨床試験および医師主導研究の技術支援も行います。
① 抗細菌・真菌薬の薬剤感受性測定(CLSI準拠)
多様な菌種について、CLSI(Clinical and Laboratory Standards Institute)ガイドラインに基づく標準化手法で測定を実施し、MIC50・MIC90、MIC分布、耐性分類など、用途に応じた解析レポートを提供します。


真菌にも種々の薬剤に対する耐性菌が出現しており、治療には薬剤感受性測定が必要と考えられます。今後これらの真菌のサーベイランスや創薬研究が進むことが期待されます。当社では真菌の薬剤感受性測定を多数行っています。


② 血清型・遺伝子型など各種型別測定解析
肺炎球菌の血清型別測定の例
血清型別測定は、抗血清と患者から分離培養された菌を反応させ、菌周囲に分泌された莢膜多糖が膨化することを染色で判別します。疫学調査には血清型の判別は重要です。当社では肺炎球菌の血清型別検査を多数行っています。
肺炎球菌は高齢者や小児に肺炎、中耳炎、敗血症、髄膜炎などの感染症を引き起こす細菌であり、特に侵襲性肺炎球菌感染症(無菌部位への感染)は重症化しやすく、死亡例も多くなります。




遺伝子型測定の例
Multilocus Sequence Typing(MLST)は複数のハウスキーピング遺伝子の塩基配列をシークエンス解析することで、遺伝子セットとして種固有の塩基配列をパターン化し、これをデータベースとして未知の生物種を解析することで、Sequence type(ST)分類をする方法です。弊社ではClostridioides difficileの実績がございます。C. difficile感染症は, 抗菌薬使用等によって消化管微生物叢が撹乱された状態で発症することが多い消化管感染症です。MLSTによるタイピングは院内感染対策のみならず、世界規模で感染経路を追うことが可能です。
③ 16S rRNA細菌叢解析
当社が提供する「16S rRNA細菌叢解析」は、微生物コミュニティの構成と特徴を可視化するための高精度な解析ソリューションです。16S rRNA遺伝子は細菌に広く保存されている領域でありながら、菌種ごとに特有の配列差異を持つため、細菌叢の網羅的なプロファイリングに最適な標的とされています。本解析では、この遺伝子領域を指標としてサンプル中に存在する細菌の種類や相対的な存在比を明らかにし、多様なニーズに対応します。
活用が期待されるシーン
- 製品や設備の微生物検査
- 品質トラブルの原因菌探索
- 新規製品開発における微生物評価 など
16S rRNA細菌叢解析の流れ
- サンプル(口腔・皮膚スワブなど)からDNAを抽出
-
DNA抽出装置:
Maxwell® RSC 48 Instrument(Promega)
- 16S rRNA遺伝子の任意の領域を増幅、
PCR産物へのIndex/Adaptor配列の付加(Library調製)
- Library精製
- Library定量
- DNA濃度の測定
- Illuminaシーケンサーにて解析
-
Miseq System (Illumina)
- Illuminaシーケンサーで得られたfastq.gzファイルをCLC Genomics WorkBenchへ取り込み
- Quality Check & アダプター除去
- OTUクラスターの作成
- OTUへの細菌分類
サンプル毎の分布をグラフで表示
(OTU Clusteringによる積み上げ棒グラフのイメージ図)
- 解析レポートのご提供(電子データでのご提供)
- 当社では、国際的に広く利用されているSILVA、Greengenes等の分類データベースで解析をしています。得られた配列データは、精度の高い分類体系を基に分類され、結果を総合的に評価することで、信頼性の高い細菌叢プロファイルを提供します。また、解析後のレポートでは、細菌の群・属間比較など比率(%)で分かりやすくまとめています。
ご要望に応じて真菌のITS解析、Resfinder、CARD等のデータベースを用いた細菌の薬剤耐性遺伝子検索等、細菌・真菌全般の遺伝子解析も可能です。
2.細菌および真菌関連の測定(in vivo試験)
- ① MRSA感染
-
菌株 ATCC43300 (標準株)1株, 臨床分離株1株 動物 マウスSlc:ICR(SPF), 4週齢, ♀ 感染方法 MRSAを全身感染(腹腔内投与) 評価方法 感染5日間の生存率 投与物質 ペニシリンGカリウム 30 mg/kg×2,
バンコマイシン 10 mg/kg×2投与方法 MRSA感染 1および6時間後に皮下投与 評価方法 生存率 結果 薬剤投与なし群およびペニシリンGカリウム投与群は、ATCC43300株感染後4日間で全個体が死亡したが、バンコマイシン投与群は死亡個体は発生しなかった。 ATCC43300株と臨床分離株感染マウスに対するバンコマイシンとペニシリンの影響

N=10** p<0.01 vs 媒体対照
Statistical analysis: Kaplan-Maier method log-rank test - ② 黄色ブドウ球菌感染(要菌株提供)
- ③ マイコバクテリウム気道感染(要菌株提供)
- ④ アスペルギルス肺炎モデル(要菌株提供)
- ⑤ 緑膿菌感染(要菌株提供)
- ⑥ 大腸菌感染(要菌株提供)
抗ウイルス薬
1.ウイルス関連の測定(In vitro試験)
ウイルス評価に不可欠な定量・定性試験からゲノムレベルの解析までを実施しています。
① ウイルス分離培養・同定
病原ウイルスの分離同定はウイルス感染の実験室診断のスタンダードであり、検体中のウイルスが少量の場合でも、対象ウイルスに感受性のある宿主細胞内で増殖させ、分離することが可能です。また、ウイルス分離株を用いて、蛍光抗体法や中和試験などの方法を用いてウイルスの同定が可能です。
疫学調査、特に抗原変異の調査や薬剤の効果や耐性化を確認する薬剤感受性測定にはウイルス分離・同定は必須です。
② 抗ウイルス薬の薬剤感受性測定
プラーク減少法の例
抗ウイルス薬がウイルスの増殖をどの程度抑制できるかを評価する試験です。一般的な方法としては、ウイルスを培養細胞に感染させ、薬剤含有培地を添加してウイルスの増殖抑制効果を測定します(プラーク減少法)。抗ウイルス薬の開発時、市販後調査時の薬剤耐性株の確認を主な目的とした測定項目です。
③ ウイルス中和抗体価測定・HI抗体価測定
ウイルスのタンパク質に抗体が結合すると、そのウイルス粒子の感染性が失われることを利用した、特異性の非常に高い抗体価測定法です。2倍階段希釈した患者の血清検体とウイルスを混合して中和反応を行わせた後、対象ウイルスに感受性の高い細胞に中和反応後の混合液を接種して一定期間培養を行い、細胞変性効果(CPE:Cytopathic Effect)の有無を判定します。CPE が見られない場合、感染が抑制されたことになり、中和抗体価は陽性と判定され、その抗体価(希釈倍数)を数値報告します。
アデノウイルス8型感染
HI抗体価測定では、ウイルスが赤血球を凝集させる性質を利用した抗体価測定法です。
2倍階段希釈した患者の血清検体とウイルス抗原を混合して抗原抗体反応を行わせた後、動物赤血球浮遊液を加えて、抗体が存在する場合、ウイルスの凝集を抑制します。赤血球凝集が完全に抑制された最終希釈倍数をHI抗体価として報告します。
両測定法はウイルスに対する免疫状態を評価するための重要な指標であり、感染症の予防や管理、ワクチン開発・市販後調査において重要な役割を果たしています。
④ ウイルス核酸同定・核酸定量(例:MultiplexリアルタイムPCRによる型判別)
複数の蛍光プローブを用い、複合的な型判別を1ウェルで効率的に実施します。RSV など他ウイルスとの組み合わせにも対応しています。
cobas z 480 Analyzer
例:インフルエンザウイルスMultiplexリアルタイムPCRイメージ
2.ウイルス関連の測定(In vivo試験)
① インフルエンザAウイルス経鼻感染
| 使用ウイルス | Influenza A/PR/8/34(H1N1) |
|---|---|
| 使用動物 | マウス(BALB/cCrSlc、♀、6週齢) |
| 群構成 | 非接種群、 対照群(virus量800 PFU/body, 900 PFU/bodyの2群)、 オセルタミビル群(virus量800 PFU/body, 900 PFU/bodyの2群)、 各n=8 |
| 接種方法 | ケタミン・キシラジン混合麻酔下でウイルス液を鼻腔内に接種(Day 1) |
| 投与 | オセルタミビル(50 mg/kg/回)を5日間(ウイルス接種日は1回, 後は1日2回)、経口投与 |
| 評価 | 左肺重量、肺胞洗浄液中IL-6濃度、生存率 |
| 結果 | インフルエンザAウイルスを感染させたマウスでは、非接種群に比べて肺重量、肺胞洗浄液中のIL-6濃度が上昇しており、感染9日目以降では死亡個体が複数観察され、感染12日目には全個体が死亡した。一方で、オセルタミビルを投与することで、肺の炎症が抑えられ、生存率の改善も観察された。 |
インフルエンザウイルス感染マウスに対するオセルタミビルの影響




2. ヒトB型肝炎ウイルス
| 使用ウイルス | ヒトB型肝炎ウイルス(株式会社フェニックスバイオより供給) |
|---|---|
| 使用動物 | PXBマウス(株式会社フェニックスバイオ, 雄, 12-18週齢) |
| 群構成 | 対照群,エンテカビル群,IFN-α 群30µg/kg |
| 投与期間 | 6週間 + 3週間休薬 |
| 投与 | エンテカビル30 µg/kg(経口,1回/日)、 IFN-α 30µg/kg(腹腔内,2回/週) |
| 評価 | 血清中HBVコピー数 |
| 結果 | PXBマウスにヒトB型肝炎ウイルス(HBV)を感染させると、感染の6,7週後には血清中のHBV量は10⁸ copies/mLまで増加した。その後、対照薬、エンテカビルまたはIFN-α を30µg/kgで投与したところ、エンテカビルまたはIFN-α投与では経時的に血清中HBV量は低下したが、投与を中止するとHBV量が再び増加することが観察された。その増加量はIFN-α投与群の方が、エンテカビル投与群に比べて10倍以上多く、エンテカビルの方がウイルス抑制効果が持続することが示唆された。 |
実験スケジュール

HBV感染ヒト肝キメラマウス(PXBマウス)に対するエンテカビルおよびIFN-α投与時の血清中HBVコピー数の推移

**: p<0.01; 媒体群と比較して有意差あり (t-test)
ワクチン開発支援
メディフォードでは、長年にわたり国内外の感染症予防ワクチン開発をサポートしてきました。ワクチン開発では、非臨床試験における免疫原性評価や安全性試験、動態試験、治験や臨床試験における有効性評価や詳細な免疫細胞評価、さらに製造販売後調査における長期免疫持続性評価などが必要です。適切なガイドラインのもと、継続可能で安定した測定系を用いた長期的な評価が可能なメディフォードでは、長期間におよぶワクチン開発を一貫した技術と体制で強力にサポートします。
医療機関からの検体回収から、中和抗体価の測定やPBMC分離など、必要となる多様な測定までをサポートしており、ワクチンの早期承認に貢献します。
① 免疫原性評価
抗体価測定
ワクチン標的の病原体抗原に対する抗体価を目的に応じた手法で測定します。測定系の構築から、測定法のトレース、市販キットの利用までいずれも対応可能です。上記のように、ウイルスを用いた中和抗体価の測定やインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、日本脳炎ウイルスなどに対するワクチンにおけるHI法(赤血球凝集抑制試験)を用いた抗体価測定にも対応します。
必要であれば、検出した抗体のアイソタイプやサブクラスの評価を実施します。
免疫細胞の評価
フローサイトメトリーを使用して、ワクチンにより活性化したT細胞やB細胞、NK細胞などのリンパ球サブセット解析や、各種活性化マーカーの発現を測定することでワクチンによる免疫細胞の応答状況や活性化を評価します。免疫細胞内に産生されているサイトカインや、サイトカイン産生細胞の割合、抗原特異的細胞の解析などについてもご提案します。
サイトカイン測定
ワクチン投与により刺激を受けた免疫細胞から放出されるサイトカインやケモカインは、LBA(Ligand-Binding Assay)法などで測定します。ECL法では一度に最大10項目までを高感度・高精度に測定可能です。Bio-Plex法では、少量サンプルから一度に最大100項目までを半定量的に測定することが可能です。
またELISpot法では、単一細胞レベルで特定抗原に反応してサイトカインを放出する、抗原特異的細胞を検出可能です。メディフォードでは、CTL.社のImmunospot Analyzerを保有しており、CTL社製キットやMabtech社製キットを利用して、インターフェロンやインターロイキンなどの測定を長年にわたり数多く実施しています。
② PBMC分離
ワクチンに反応した免疫細胞の評価やELISpotでの測定では、評価対象細胞の純度をあげることで、より精度よく測定できます。そのためには、全血からPBMCを分離して測定に用いることが有用です。
PBMC(Peripheral Blood Mononuclear Cell)は、血液中の大部分を占める赤血球や顆粒球、血漿が除かれ、T細胞、B細胞、NK細胞、単球及び樹状細胞等の多様な免疫細胞が濃縮された細胞集団です。抗原特異的T細胞等の希少な細胞の評価に適しており、凍結による長期保存も可能です。
PBMCは一般的に新鮮な血液から密度勾配遠心法にて単離・回収されますが、この回収作業は1検体毎に手作業で行われ、高品質なPBMCを得るためには習熟した操作技術が求められます。また、より生体内の状態を反映したPBMCを得るためには、血液採取からPBMC回収までをできるだけ短時間で実施する運用体制が必要となります。こうした点は、PBMCを用いた研究で正しい分析結果を得るためには、非常に重要です。
メディフォードは、15年以上にわたりPBMC分離を受託してきた実績があり、より純度の高いPBMCを分離するノウハウを蓄積してきました。使用用途、必要量、コスト、医療機関の立地など、ご要望にあわせて最適な分離方法や運用方法をご提案することが可能です。
メディフォードでは液体窒素下でのPBMC長期保管サービスの拡大も準備中です。
③ 検体管理(セントラルラボサービス)
ワクチン開発などの短期間に多施設から数多くの検体が発生する試験では、検体搬送のわずかな遅滞やミスが試験全体の進捗と成果に深刻なインパクトを与えます。当社は全国を網羅する独自の回収ネットワークを基盤に、専門教育を受けた専属スタッフが厳格な温度管理とノウハウを駆使し、大切な検体を高品質な管理体制で搬送いたします。
採取後の検体について、メディフォードでの高度な解析から外部の測定機関への発送、さらには長期保管に至るまで、試験デザインに応じた最適なハンドリングをワンストップで提供いたします。


