生体試料中の細胞や培養細胞の表面には、その細胞の特徴となる様々な抗原(タンパク質や糖鎖など)が発現しています。これらの表面抗原を特異的な抗体を用いて検出することで、その細胞集団の特徴や役割を解析することが可能です。

例えば、血液中に循環する白血球集団を解析することで、全身の免疫状態や、薬剤・機能性表示食品による免疫細胞のポピュレーション変化を推測できます。腫瘍組織などから採取した細胞集団を解析することで、その微小環境全体の多様性も解析可能です。また、特定の細胞集団を刺激培養することで、サイトカイン産生能などを評価することも可能です。

メディフォードではフローサイトメトリーやマスサイトメトリー、ELISpotなどを用いた細胞特性解析や、セルソーターを利用した特定細胞集団の単離サービスをご提供します。

Service details試験・サービスの詳細

フローサイトメトリー

フローサイトメトリー(flow cytometry:FCM)とは、血液などの不均一な混合液中の細胞特性を解析する技術です。蛍光標識抗体を用いることで細胞表面マーカーの解析や細胞内抗原の解析などが可能です。
当社では、3種類のレーザーを搭載したBD Biosiences社のBD FACSCant II(8カラー対応)や、BD FACSLyric(12カラー対応)を保有しています。
血液(全血)、PBMC(Peripheral Blood Mononuclear Cells:末梢血単核球)、培養細胞の他、ご要望に応じたサンプルの選択が可能であり、市販のキット製品の他にも、社内検証済みのパネルやご指定のパネルでの測定にも対応可能です。また、薬剤刺激応答性の評価やレセプター飽和度などの解析実績、製薬企業や飲料メーカーなどからの豊富な受託実績があります。

BD FACSCant II
BD FACSCant II
BD FACSLyric
BD FACSLyric

経験豊かな研究員と相談しながら、お客様のニーズに適合した測定系の構築も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

マスサイトメトリー(CyTOF解析)

マスサイトメトリーとは、懸濁液中の細胞を解析するフローサイトメトリー技術と、金属安定同位体標識された抗体に結合した細胞をICP-TOF-MS検出する技術を、組み合わせた分析法です。
当社では、Standard BioTools社のCyTOF XT(Cytometry by time-of-flight)を導入し、1つのサンプルで40項目以上のターゲット測定が可能です。フローサイトメトリーと比較し、蛍光色素の退色や漏れ込みがないため、安定した測定結果が得られます。それぞれの特徴から目的用途に合わせて、ご提案します。

CyTOF
CyTOF XT

ELISpot

ELISpot(Enzyme-Linked ImmunoSpot)とは、単一細胞レベルで分泌されたサイトカインを検出できる非常に高感度なイムノアッセイです。細胞から分泌されたサイトカインが、放出後すぐに抗体と結合するため、分解や細胞への取り込みの影響を受けない特徴があります。ウェル底面膜の抗体に補足されたサイトカインは、二次抗体や酵素などと反応し、ウェル底面膜の細胞が位置していた場所にサイトカインスポットを形成します。このスポットをカウントすることで、サイトカイン産生細胞を可視化、測定します。
当社では、CTL.社のImmunospot Analyzerを保有しており、CTL社製キットやMabtech社製キットなどを利用して、インターフェロンやインターロイキンなどの測定を実施しています。 感染症ワクチン、がんワクチン、細胞医薬品開発などでの有効性確認試験などにおいて実績が豊富です。

Immunospot Analyzer

セルベースアッセイ

セルベースアッセイは、細胞を利用して薬剤や測定対象物質の活性や毒性を評価する手法です。医薬品開発においては、投与した薬剤の体内での濃度・活性力価の評価や、タンパク質製剤投与後の抗薬物抗体評価などに利用されます。ワクチン開発においても、その効果検証のためにバイオアッセイが活用されます。

当社では、投与薬剤に対する中和活性抗体価測定や、ワクチン開発における免疫応答や免疫原性評価試験に豊富な受託実績があります。

PBMC分離

PBMC(末梢血単核球)とは、T細胞、B細胞、NK細胞、単球及び樹状細胞等の多様な免疫細胞から構成されます。近年、免疫研究やワクチン開発など様々な用途に用いられ、注目を集めています。
PBMCは一般的には密度勾配遠心法を用いて新鮮な血液から単離・回収されますが、比重液上への血液の重層作業や、分離したPBMCの回収・洗浄作業は用手で行われ、高品質で均質なPBMCを得るためには習熟した操作技術が求められます。また、より生体内の状態を反映したPBMCを得るためには、血液採取からPBMC回収までをできるだけ短時間で実施する運用体制が必要です。

当社では長年、治験・臨床研究等におけるPBMC分離を受託しています。医療施設等より血液検体を回収し、東京都板橋区にあるGLPラボにおいて、熟練した研究員がPBMC分離を実施します。標準的な分離法の他、Vacutainer CPT[BD社製] 、Leucosep tube[Greiner社製] 、SepMate[STEMCELL Technologies社製] などの製品を用いた簡易的な分離法にも対応可能です。
分離したPBMCサンプルは当社でフローサイトメトリーやELISpot、qPCRなどによる分析に用いる他、将来の研究のための長期保管や、他の分析ラボへの搬送にもご対応します。

以下にFicollを用いたPBMC分離の実施事例を紹介します。

Ficollを用いたPBMC分離の実施事例

Ficollの上部にPBSで希釈した血液を、液面が乱れない様にゆっくりと重層します。
遠心分離後、不要な血漿を除去します。
注意深くPBMCのみを回収します。
PBSに回収したPBMCを添加した後、遠心分離し、上清を除去、タッピングを行い、PBMCをほぐします。PBSによる洗浄工程を複数回繰り返し実施します。必要に応じて、細胞懸濁液の一部を用いてセルカウントを行います。
細胞保存液で懸濁したPBMCを凍結保存チューブに分注します。
CoolCell [Corning]を使用して、-80℃でゆっくりと予備凍結させます。その後、液体窒素タンクまたは-150℃の超低温冷凍庫に保存します。

血液検体からPBMCを回収する一連の作業を紹介した動画もありますので、ご興味がありましたら、お気軽にお問合せください。

病原体(細菌・真菌・ウイルスなど)関連測定

抗菌薬や抗ウイルス薬、ワクチン開発や疫学調査などでは、関連する病原体の検出やその解析が多く用いられます。
当社では以下に示す測定を信頼性基準下で実施した実績があります。

  • 細菌やウイルス培養法を用いた分離同定や力価測定
  • 分離同定された株を用いた薬剤感受性測定
  • PCR法などを用いた核酸同定や核酸定量
  • 塩基配列解析(NGS含む)によるゲノム解析(疫学調査における病原体の詳細な分類、遺伝子変異箇所の特定による薬剤耐性の確認など)
  • ウイルス培養や血球凝集を用いた抗体価測定

上記は一例であり、病原体の種類により測定法が異なりますので、お気軽にご相談ください。