約40年の実績と国際基準で支える吸入毒性試験。
メディフォードでは、GLP適合・AAALAC完全認証施設による確かな品質と、豊富な経験に基づく最適な試験設計で、信頼性の高いデータをご提供します。

Custom Inhalation Toxicity Testingオーダーメードの吸入毒性試験

吸入毒性試験は、規制当局の要求に対応するだけでなく、製品の安全性を科学的に裏付けるうえでも重要な試験です。当社では、永年にわたる経験と技術に基づき、物質の性状や用途、想定される曝露経路に応じたオーダーメードの試験設計をご提案しています。試験の目的が明確でない段階からでも、丁寧なヒアリングを通じて、適切な試験戦略を共に検討し、最適な試験プランをご提案いたします。規制対応はもちろんのこと、製品リスクの低減や、社内における安全性情報の蓄積・活用といった、多様な目的に対応可能です。試験の構想段階からでも、ぜひお気軽にご相談ください。

受託実績

豊富な実績に基づくノウハウが、メディフォードの強みです。以下に、これまで受託した主な吸入毒性試験の実績をご紹介します。

2015 - 2024年
動物種 投与経路 適用GLP 単回 2W 4W 13W その他
サル 頭部吸入曝露 OECD GLP 0 0 0 0 0
医薬品GLP 1 0 0 2 0
非GLP 1 1 0 0 0
マウス 全身吸入曝露 OECD GLP 0 0 0 0 1
医薬品GLP 0 0 0 0 0
非GLP 2 0 0 0 3
ラット 鼻部吸入曝露 OECD GLP 70 0 6 3 0
医薬品+OECD 4 0 0 0 0
医薬品GLP 4 0 1 2 0
他GLP 3 0 0 0 0
非GLP 30 5 5 2 1
全身吸入曝露 OECD GLP 0 0 1 0 0
医薬品GLP 2 0 2 0 0
非GLP 4 0 0 0 0

吸入毒性試験とは

吸入毒性試験は、動物の自発呼吸によって気道から投与される非臨床試験であり、呼吸器を介して体内に取り込まれる可能性のある物質の安全性を評価するために実施されます。この試験の対象となるのは、意図的に経気道投与される医薬品に加え、作業環境や生活環境で非意図的に吸入される農薬、化学品、家庭用品、さらには電化製品からの放出物など、多岐にわたります。そのため、医薬品では投与経路に基づき、農薬では新規原体の性状に応じて、また化学品では物性や曝露シナリオに基づいて、各国の規制当局より吸入毒性試験の実施が求められることがあります。

主な試験の対象物質

医薬品(吸入医薬品、殺虫剤等)
医薬品(吸入医薬品、殺虫剤等)
農薬(原体、製剤)
農薬(原体、製剤)
化学品(ガス、揮発性物質など)
化学品(ガス、揮発性物質など)

私たちの身近な家庭用品も試験の対象です。

スプレー製品・防水スプレー・整髪料・制汗剤・防臭剤
スプレー製品
(防水スプレー / 整髪料 / 制汗剤 / 防臭剤)
芳香剤
電化製品からの放出物

※: 空気中に放出(噴霧、蒸発等)されることで、ヒトに吸入される可能性のあるもの

吸入毒性試験一覧

メディフォードでは、GLP基準に準拠した各種吸入毒性試験の受託を行っており、試験系の組み合わせにも柔軟に対応しています。約40年にわたり,多様な物質特性に応じた吸入毒性試験を多数実施しており、豊富な経験と技術を蓄積しています。これらの知見を活かし、試験雰囲気の調製、曝露濃度や粒子径の特性評価、呼吸器病理の組織学的解析に至るまで、一貫した高品質な試験ソリューションをご提供いたします。

試験種 試験雰囲気の性状 動物種 曝露方式
  • 急性吸入毒性試験
    (吸入単回投与毒性試験)
  • 亜急性吸入毒性試験(28日試験)
  • 亜慢性吸入毒性試験(90日試験)
    (吸入反復投与毒性試験)
  • ガス
  • 蒸気(ベイパー)
  • ミスト(液体)
  • ダスト(固体)
  • くん煙
  • その他
  • ラット
  • マウス
  • カニクイザル
    (ミストのみ)
  • モルモット
  • ウサギ(応談)
  • 鼻部吸入曝露
  • 全身吸入曝露
  • 頭部吸入曝露
    (サルのみ)

保有機器の一例

吸入毒性試験は、機器構成とその運用に高度な専門性を要する分野です。当社は、永年の経験と知見に裏打ちされた技術で、最適な機器構成と試験運用を通じ、信頼性の高いベストプラクティスをご提供いたします。

試験雰囲気の発生

ミスト
ミスト
ダスト
ダスト

試験雰囲気の曝露

サル頭部曝露
サル頭部曝露
鼻部吸入曝露
鼻部吸入曝露
全身吸入曝露
全身吸入曝露

試験雰囲気の評価

メディフォードでは、これまでの豊富な経験と実績に基づき、信頼性の高い試験雰囲気の評価を実施しています。曝露濃度の測定から粒度分布の解析、環境測定まで、すべての項目において精度の高いデータの提供を行います。

曝露濃度測定

質量法 :
  • ガラス繊維フィルターによる捕集
  • 捕集空気量測定
  • 質量測定
化学分析法 :
  • 質量法に代わり、化学分析手法(ガスクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィー)を使用し、試験雰囲気中の被験物質濃度を定量、測定します。

これらの測定法は、十分な検証を行い、信頼性の高いデータを確保しています。

検証項目の例 :
  • 捕集効率,回収率,秤量安定性,吸着・透過性
  • 試験雰囲気捕集
    (吸引捕集)
  • 捕集空気量測定
  • 質量測定
    or
    化学分析
試験雰囲気の評価

粒度分布測定

吸入試験において、呼吸器への粒子沈着に関する重要な指標である空気力学的質量等価径(Aerodynamic Mass Equivalent Diameter)を測定します。これにより、被験物質がどの部位にどのように沈着するかを評価します。

算出パラメータ:
  • 空気力学的質量中位径(Mass Median Aerodynamic Diameter: MMAD)
  • 幾何標準偏差(Geometric Standard Deviation: GSD)

空気力学的等価径の測定を例示します。
使用機器:カスケードインパクター

カスケードインパクターは、空気を複数のステージ(段)に順次通過させることで、粒径ごとに粒子を分級捕集する機器です。各ステージは、ノズル(ジェット)と衝突板(捕集板)で構成されており、ノズル径を段階的に小さくすることで通過する空気の速度が上昇します。この空気速度の増加により、粒子は慣性の影響で衝突板に衝突し、粒径に応じて各ステージに捕集されます。

Stage
No.
カットオフ
径(μm)
捕集
質量比
1 5.8 14.9%
2 3.67 37.1%
3 2.41 24.2%
4 1.49 11.9%
5 1.09 6.2%
6 0.75 3.6%
7 0.34 1.5%
粒度分布測定

環境測定

試験雰囲気の温度、相対湿度の測定に加え、低下することが想定される条件下では酸素濃度測定を実施します。

ガイドライン対応

メディフォードでは、国内外の吸入毒性試験法ガイドラインに準拠した各種試験を実施しています。国内外の規制当局への申請に対応可能な試験データをご提供いたします。

適用可能なガイドラインの例

急性吸入毒性試験(単回投与毒性試験)
  • OECD毒性試験法ガイドライン No. 403(従来法)
  • OECD毒性試験法ガイドライン No. 433(固定濃度法)
  • OECD毒性試験法ガイドライン No. 436(毒性等級法)
  • EPA毒性試験法ガイドライン(OPPTS/OCSPP) 870.1300
亜急性吸入毒性試験(28日間・4週間反復投与毒性試験)
  • OECD毒性試験法ガイドライン No. 412
亜慢性吸入毒性試験(90日間・13週間反復投与毒性試験)
  • OECD毒性試験法ガイドライン No. 413
  • EPA毒性試験法ガイドライン(OPPTS/OCSPP) 870.3645

規制対応

毒性試験法ガイドラインへの対応に限らず,吸入毒性に関する試験成績が要求される国内外の各種法令・規制に対応した試験設計をご提案いたします。

吸入毒性試験成績が求められる主な規制の例

  • 毒物及び劇物取締法「毒物・劇物の判定基準」に基づく除外申請時の急性吸入毒性試験
  • 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法): 新規化学物質の届出において、哺乳類を用いた28日間反復吸入毒性試験が必要とされる場合
  • 欧州指令(CLP規則 / REACH規則): 危険有害性の分類・表示に関する欧州理事会指令(EC)に基づく吸入毒性区分の評価
  • IMDGコード(海上輸送): IMO(国際海事機関)の危険物の海上輸送規則に基づき、吸入毒性に関する分類が求められる化学品に対応
  • IATA危険物規則(航空輸送): ICAO-TIおよびIATA-DGRに基づく航空輸送時の危険性分類・ラベリングに必要な毒性データの取得に対応